娘さん息子さんの学生生活を 案じておられるご両親へ

京大生の親御さんと家族のために

娘さんや息子さんを京都大学に送り出して…

娘さんや息子さんを京都大学に送り出すことは、親御さんの生活に重要な変化をもたらすことでしょう。ご兄弟や、おじいちゃん、おばあちゃんなど、家族の他のメンバーの生活にも何らかの変化をもたらすことでしょう。そこにはおそらく喜ばしい気持、誇りに思う気持ち、わくわくするような期待、そしてほっと安堵する気持があることでしょう。と同時に、これから始まる娘さんや息子さんの学生生活に対する不安と心配もあることでしょう。

大学生への移行に伴う親子関係の変化

大学生への移行は、娘さんや息子さんの人生における興奮のひとときです。彼らはより大きな自律性を獲得し、これまでにない豊かな知的刺激を受け、新しい人間関係を経験するでしょう。より広い社会的な活動にも開かれていきます。 そのような経験の中で変化していく娘さんや息子さんを見ることは、親御さんにとって、喜ばしいと同時に、淋しいことかもしれません。娘さんや息子さんは、これまでのようには親御さんに精神的に頼らなくなり、これまでのようには頻繁にコミュニケーションを取らなくなっていくでしょう。このことは予想される健全な成長過程の表れなのですが、そうはいっても、いざそれに直面すると、親御さんは、落ち込んだり、頻繁に電話してこないことを不満に思ったりするかもしれません。

 そういうときには、大学の4年間は、子どもたちが、家計をやりくりする、厄介な人間関係に対処する、学業上の課題に取り組む、といったような、自分たちの課題に自分で取り組むことを学んでいくための最高の機会だということをあらためて認識することが重要でしょう。親御さんが、ひきつづき情緒的な支えを(たぶん経済的な支えとともに)提供することは、なお必要とされていることでしょう。そしてそうした支えは子どもたちからも感謝の気持ちで受け取られることでしょう。けれども、今や成長しつつある子どもたちは、これまでならば親御さんが関与して解決していたような課題に、つたないながらも自力で取り組もうと試み始めるのです。このとき親御さんは、大学生である子どもたちがより大きな責任を担っていけるよう、見守り、励まし、勇気づけるという、新しい役割を取るよう期待されているのです。

 たいていの家族はこの移行の危機をうまく乗り越えていきますが、その過程でちょっとした援助が必要になることもよくあります。親御さんは、娘さんや息子さんが充実した学生生活を送れるよう、どのように支えてあげたらよいでしょうか。カウンセリングルームから一般的なアドバイスを挙げてみたいと思います。

 もちろん、こうした親御さんからのサポートに加えて、大学は学生のために専門的な相談サービスも提供しています。カウンセリングルームは、学生が相談できる学内相談機関です。どのような問題でも相談できます。子どもたちについての親御さんからのご相談もお受けしています。どうしていいか分からないときには、私たちのオフィスに電話してください。カウンセラーはあなたの娘さんや息子さんのプライバシーに関わる具体的な情報をお伝えすることはできませんが、よろこんであなたのお話をお聞きしますし、何らかの助言をすることができるでしょう。

「空の巣」に対処する

子どもが成長し、巣立っていった後、ぽっかりと心に穴が空いたように放心してしまう。中年期にある親が出会うこうしたライフサイクル上の課題は、しばしば「空の巣」症候群と呼ばれます。

 大学生である子どもたちの成功に親が寄与する重要な道筋の1つは、健康な対処スタイルのお手本を示してやることです。新しい人生の段階に入ったことを静かに見つめ、受け入れていく時間を取りましょう。淋しい気持があるとしても、それをごまかしたり押さえ込んだりせず、またそれにおぼれてしまったりもせず、淋しさの感情から大事な人生のメッセージを受け取り、そのメッセージにしたがって行動しましょう。

 あなたが「空の巣」を抱えているのなら、それを自分自身のために時間をつかえるチャンスだと考えてみることもできるでしょう。あなたはこれまで時間がなくて追究できずにきた興味を深めてみることができます。人間関係を豊かにすることができます。行ってみたかった場所に旅行することもできるでしょう。

 たぶん、子どもたちは立派に親離れを遂げ、大学生活を忙しく充実して送っているのでしょう。あなたはそれを誇っていいのです。子どもたちは、「空の巣」を抱えているあなたを気遣ってさえいるのかもしれません。あなたは、自分がこの変化に力強く前向きに立ち向かっていることを示して彼らを安心させることができるでしょう。

子どもをサポートするためにできること

<子どもの学生生活の具体的現実を理解しましょう>

大学での学生生活はとても人それぞれです。とても忙しく、学業上の課題、サークル活動やアルバイトなどの責務、多様な人間関係上のつきあいなどで多忙を極めている学生もいる一方で、やりたいことが見つからずに自由な時間をもてあましてしまう学生もいます。いずれにせよ今時の学生がどのような生活を送っているのかということは親にとっては未知の世界に属することでしょう。娘さんや息子さんがどのような学生生活を送っているのか、話を聴いてあげてください。

<節度ある押しつけがましさで接触を保ちましょう>

娘さんや息子さんがとても独立したがっており、あなたの関与を歓迎しないこともあるでしょう。その場合でも、まったく接触のない状態が長期間続くことを受動的に受け入れてしまうと、娘さんや息子さんの生活に何らかの問題が発生したときに対応が遅れてしまうことが危惧されます。少なくとも、あなたには娘さんや息子さんの生活の様子を知って安心したい気持ちがあること、もし困難なことがあれば相談してほしいことを理解してもらい、電話であれ、メールであれ、一定の頻度で接触を保つことができるように、話し合っておくことが、結局は双方にとって有用となるでしょう。
他方、娘さんや息子さんが許容できる以上に親が子どもの生活に一方的に関与を強めてしまうと、反発からかえって子どもたちを遠ざけてしまうかもしれません。また娘さんや息子さんがこれをおとなしく受け入れてしまうような方であれば、表向きは平穏な親子関係が続くかもしれませんが、その中で子どもの自律性が犠牲にされているのではないかという疑惑が生じてきます。

 口出しと見守りの適度なバランスを、娘さんや息子さんの反応を注意深く感じ取りながら、調整していきましょう。

<互いの要求について話し合いましょう>

子どもと話し合う時間を作り、親が子どもに求めること、子どもが親に求めることについて合意を得ましょう。たとえば、お金はどのくらい必要か、どのくらいの頻度と時間電話で話すか、どのくらいの頻度で子どもと会うか、などです。現実的な計画を交渉しましょう。

 親子関係には葛藤がつきものです。けれども、あなたは、自分にとって何が本当に重要なことなのか、順位づけをして、どの問題を取り上げて、どの問題を手放すかを決める必要があるでしょう。しばしば親はこうした話し合いの中で、これまでのようには親の立場からの説得がうまくいかない事態に直面するでしょう。すでに娘さんや息子さんは、親の知らない世界の中で多様な経験を積みながら、自分の考えを形成しつつあるのです。子どもの成長を受け入れ、認めることが役に立つでしょう。

何か問題がありそうに思えるとき

親は、興味を抱くこと、支持を与えること、子どもたちが私たちに話したいと思うときには彼らの心配事を聞こうとすることによって、子どもたちの成長に、真の違いをもたらすことができます。親が子どもたちに与えることができる最大の贈り物は、彼らが大学生活を渡っていく間、彼らのための安全基地となることです。
もしあなたの娘さんや息子さんが、対処しがたい困難を抱えているように見えるときには、あなたの懸念を伝え、話しを聞いてあげましょう。どう話していいか、難しく感じる場合もあるかもしれません。一般的なアドバイスをここに示します。

<話を切り出す>

なぜ心配なのかについて具体的に話しましょう。娘さんや息子さんに、あなたが観察したことを話し、なぜ心配なのかを話しましょう。

<子供の話を聴く>

娘さんや息子さんは、あなたが注意深く心配ごとを聞いてくれることで、大いに助けられます。

<明確化する>

不明瞭なことを明確にしましょう。混乱がなくなるように、そして、事態についての共通理解が得られるように。あなたが子どもの話しをよく聞いてあげて、その結果、娘さんや息子さんがあなたから理解されたと感じたなら、そのとき、彼らはあなたの意見やアドバイスに耳を傾け、受け容れる可能性が高まります。

<判断、評価、批判を避ける>

たとえあなたの娘さんや息子さんがあなたに意見を求めた場合でも、判断、評価、批判は避けましょう。これらの行為は、彼らを遠ざける可能性が高いのです。同時にまた、「心配することはない」などという言葉で問題を過小評価することも避けましょう。娘さんや息子さんが心配しているのなら、彼らにとっては重大なことなのです。

<選択肢を広げる>

問題解決のための可能な道筋について、子どもと一緒にブレインストーミングをしましょう。そしてさらに援助を与えてくれる多様なリソースがあることを示唆してあげましょう。

<大学のリソースを利用するよう子どもを励ます>

京都大学は、あなたの娘さんや息子さんの体験を促進するさまざまなリソースを提供しています。カウンセリングルーム、キャリアサポートルーム、障害学生支援ルーム、健康科学センター、女性研究者支援センターなどなど。適切だと思うときには、こうしたリソースを利用するよう勧めることで、彼らを助けることができるでしょう。あなた自身がカウンセリングルーム等に相談することによって、困ったときには相談するというモデルを示すこともできます。